私は小さなころから良く振り返ります。
別れ際、大抵一回は振り返ります。小さなころは、振り返った先に両親の「行ってらっしゃい。」の手を振る姿がありました。何だか安心して、学校へ行きました。
さて、学生になった私は、相変わらず振り返ります。大好きな人とデートをして、帰り際振り返る。でも彼は、振り返りません。そんな人には、必ず失恋しました。
私は、どうして振り返らないのだろう?と不思議に感じました。友人にしても良く振り返る友人といつも振り返らない友人といました。家の躾？でも振り返るのが必ずしも良い躾ではありません。私も両親に「さよならしたら、必ず振り返りなさい！」なんて、注意を受けたことが無いです。でも私は振り返ります。
そんな私も社会人となり、たくさんの方々と接しました。たくさんの方々をお見送りすることが本当に多い仕事でした。そこで学んだことは、振り返る方というのは、何かしらの気持ちを体現している訳です。感謝だったり、名残惜しさだったり、まれに怒りですね。私は、たくさんの方々を見送る中で、「振り返るって言葉ではもう届かないけど、気持ちを表す最後のチャンスなんだなぁ～。」なんて感じました。
そんなお客様の最後のメッセージを見逃してはなりません。しっかりとお客様のお姿が見えなくなるまで、きちんとさよならをしました。
そんな私も母になり、子供を持ちました。母になって、またこの振り返りについて深く考えました。母はいつでも子供の笑顔が見たいですよね。子供はよく母を振り返ります。母も子供を保育園に送りだす時、何度も振り返ります。それは、少しでも子供の姿を見ていたいから。でもそれはこれから保育園で社会生活をおくらなければならない子供にとっては、ママの未練たらしい振り返りは、却って毒です。あえて、振り返らない。
子供たちも同じようなことが言えて、何度も何度も振り返りながら登校していく日は、母は少し不安になります。母のことなどかまってられない！なんてふうに元気よく飛び出していく様子がいいです。なので、母になった私は子供たちが振り返らなくてもいいように普段、愛情をたくさん注ぐのです。自信をたくさんつけてあげて、子供がなるべく母を振り返ることなく、外に飛び出せるように…。
でも子供たちが母を必要とした時、いつでも気付いてあげられるように、最後の最後まで子供たちの様子を見ています。子供たちが振り返った時に、私がいつでも笑顔で応対できるように、子供たちの後ろ姿をそ〜〜っと見ていようと思います。
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