2018/06/05 カテゴリー:矯正治療
以前、矯正治療中の痛みについてお話しました。
矯正中の痛みの感じ方は個人差があり、また、矯正装置を歯の表側に付けるか裏側に付けるかなど、使用する矯正装置によっても違います。
調整後の痛みが強い方から、全く痛みがないまま矯正治療を終了する方までさまざまです。
当院では矯正治療を始めて(ブラケットを歯に装着して)から6カ月後の患者様に、このようなアンケートを記入していただいております。
▶歯、頬、唇、舌の痛みに有無について
▶痛みがあった場合、いつ痛みがあったか
以下がアンケートの集計結果です。
※表側:上下顎とも表側に矯正装置をつける治療方法
フルリンガル:上下顎とも裏側に矯正装置をつける治療方法
ハーフリンガル:上顎は裏側に下顎は表側に矯正装置をつける治療方法
▶歯の痛みがありましたか?
<全体>
はい :72%
いいえ:28%
はい :95%
いいえ:5%
<裏側>
はい :88%
いいえ:12%
<フルリンガル>
はい :100%
いいえ:0%
<ハーフリンガル>
はい :88%
いいえ:12%
全体の約7割の方は歯に痛みを感じ、約3割の方は痛みがないという結果になりました。
以前、説明したように痛みがあるのは歯が動いている証拠です。しかし、約3割の方は痛みを感じていませんでした。ですが、痛みが無いからといって歯が動いてないというわけではなく、また、歯の動くスピードも関係はしていません。実際に矯正中痛みがなかったという方で予定より早く矯正が終了した方もいらっしゃいました。
表と裏で大差はありませんが、若干表からの方が痛みを感じた方が多く、フルリンガルとハーフリンガルではフルリンガルの方が痛みを感じた方が多かったようです。
▶頬や唇の痛みがありましたか?
<全体>
はい :43%
いいえ:57%
はい :45%
いいえ:55%
<裏側>
はい :42%
いいえ:58%
<フルリンガル>
はい :43%
いいえ:57%
<ハーフリンガル>
はい :42%
いいえ:58%
全体の約4割が頬や唇に痛みを感じ約6割が痛みを感じなかったそうです。
表と裏での差はほとんどありませんでした。フルリンガルの場合でも奥歯は表に付ける場合があるためかと思われます。
頬や唇が痛む理由としては、矯正装置が頬や唇にあたりこすれるためです。また、歯が動いて綺麗に並んでくると奥のワイヤーが飛び出してくるため痛むこともあります。
口内炎ができた方は17%でした。
▶舌の痛みがありましたか?
<全体>
はい :35%
いいえ:65%
はい :0%
いいえ:100%
<裏側>
はい :62%
いいえ:38%
<フルリンガル>
はい :86%
いいえ:14%
<ハーフリンガル>
はい :88%
いいえ:12%
全体でみると約3割の方が舌に痛みを感じたそうですが、表側で痛みを感じた方は0でした。
歯の裏に装置がないと舌にあたることはないため、舌の痛みは裏側で矯正治療を行った方のみということになります。
ですが、表側で矯正治療を行った場合でも歯列を広げる装置等を使用した場合は裏側に装置があるため、舌がこすれて痛みがある可能性は十分にありえます。
以上から、歯の動く痛みは約7割の方が感じますが、装置がこすれる痛みを感じる方は約3~4割と半分にも満たないということがわかりました。
また、痛みの有無に、年齢や性別は関係していませんでした。
痛みの感じ方は人それぞれで、治療を始めてみないとわかりません。
ですが、ずっと痛みが続くわけではなく、調整日から2、3日という回答ばかりでした。
また、治療が進むにつれて痛みに慣れてきてあまり痛みを感じなくなったという方がほとんどです。
最も強い痛みを感じやすいのは、矯正治療開始直後かもしれません。